36Lightweight X11 Desktop Environment メモ【2】 →掲示板:LXDEなメモ(Debian/Lubuntu)

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20111106

私が初めてインストールしたDebianは「etch(4.0)」でした。2007年、夏の終り頃だったでしょうか。「Linuxは軽い」と聞き及び、Pentium3クラスのマシンに、いろいろなディストリビューションのインストール実験を行っていたうちのひとつでした。そして、私の結論から言うと、「Linuxは決して軽いとは限らない」というところに落ち着きます。(種類が豊富過ぎるのもそう言わしめる要因のひとつなんですが;-)

最初に着目したのが、国産の「Vine Linux」でした。国産であれば日本語環境にも心配はないだろう、という思いからの選択でした。でも、1年くらい使い続けたある時、リポジトリの更新を適用したところでマシンが起動不能の状態に陥りました。更新の選択を誤ったのか?マシンにストレスが蓄積されていたのか?原因はわかりませんが、以来、縁遠くなっていきました。Debianへのシフトを決めていた時期でもありましたのでね。;ー)

次に興味を引いたのが「openSUSE」でした。「openSUSE」はデフォルトのデスクトップ環境がKDEとなっており、「Vine」のGNOMEとは違った感覚で「使いやすい洗練されたインターフェース」の印象が強く残りました。『できれば、「openSUSE」を使いたい』と、そう思いました。しかし、「重いんです」。それと、「openSUSE」に関する日本語でのサポート情報が少ない。どうやら、日本でのユーザは比較的少数派になるようです。ヨーロッパでは大人気のディストリビューションなんだそうですが。私は「openSUSE」を知ることによってKDEのファンになりました。でも、残念ながら「openSUSE」のファンにはなれませんでした。(贅沢なマシン環境が許されるなら、いつかは「openSUSE」を使ってみたい、高嶺の花です;-)

後発ながら急成長のUbuntuも試してみました。今ではすっかり日本でもメジャーなディストリビューションとして定着している「Ubuntu」ですが、GNOME仕様なところがイマイチ気の進まない心境にありました。そんな折り、同系のKDE仕様なKubuntuの存在を知り、Kubuntuに舵をとってみたのですが、どうも日本語環境で安定しない傾向があって常用には至りませんでした(現在、Kubuntuの日本語ローカライズ版はありません)。ただ、Ubuntu・Kubuntuを知ることによって、デスクトップ環境の混在使用が可能であることを学びました。つまり、GNOMEなUbuntuでもKDEのデスクトップ環境をインストールしてやれば、KDEとスイッチすることもできるし、KDEのデスクトップ環境をインストールすることなく、KDEなアプリケーションパッケージだけをインストールすれば、GNOMEからでも使うことができるということです。この手応えは非常に嬉しいものでした。一気に「自由観」が広がりました。そして、Ubuntuのベースとなっている「Debian」への関心が高まったわけです。やっぱり「源流」を知るべきですよね。;-)

私の場合、あるいは「Debian」に触れるタイミングが、この経緯でなかったら、なんらかのトラウマによってDebianとの距離を遠ざける結果となっていたかもしれません。ディストリビューションとの出会いは、第一印象の好感度や、チャームポイントの好みが決め手となるのではないでしょうか。私はすっかりDebianにハマりました。複数のディストリビューションを手探りで併用する中、私にとっての目の前の対策に必要な情報を、ネットの中に最も求めやすかったのがDebianだったわけです。ただ、Debianにまったく不満がないわけではありません。時として歯痒く思うこともあります。そこは折り合いを見つけるしかないかなぁ?;ー)

■「etch」の安定版はPentium3なマシンでもけっこうサクサク動いてくれました。インストールディスクがDVDへと肥大化する傾向にある中、「netinst.iso」という軽量のインストールディスクが配布されているのも、好感が持てました。尤も、ネット接続ありきなインストール作業となりますが。「netinst.iso」でインストールすると、デフォルトはGNOMEなので、KDEを追加インストールして使うというスタイルをとっていました。KDEは、v.3.5の時代です。
この時点で使えるブラウザが以下の3通りとなります。当然、Internet Explorerは使えません。

ブラウザの選択は重要です。Windowsでは「Sleipnir」を使っていました。多段タブの使い勝手が重宝したからです。しかし、Debian(Linux)では使えません。今後、WindowsとLinuxを併用していくとなると、両者で同じくして使えるものが欲しくなります。そこで注目されるのが「Firefox」です。ただ、Debianでは諸事情からFirefox(炎の狐)をIceweasel(氷のイタチ)と名称変更しています。WindowsではFirefox、DebianではIceweaselという具合ですね。ところが、WindowsのFirefoxとDebianの(安定版)Iceweaselでは、動作するバージョンが異なります。Debianの安定版を使う場合、IceweaselのバージョンはFirefoxの現行バージョンより一世代古いバージョンが適用されるサイクルとなるのが常のようです。

そんなブラウザ対策の観点からDebianの「テスト版」への関心が高まりました。「テスト版」であれば、Firefoxの現行バージョンに近いIceweaselを使うことができたからです。そして、「安定版」と「テスト版」の併用が始まりました。(※現在、ブラウザは Google Chrome を使うことで落ち着いています。my常用アプリって変遷するんですね;ー)

■かくして「lenny」は、「安定版」を待つことなく「テスト版」の段階から使ってみることにしました。そして、「テスト版」は「十分に使える」という感触を得ました。ただし、「テスト版」を使い始める時期は前期「安定版」がリリースされてから半年以上経った頃合いが無難かもしれません。sid(開発版)から降りてきたばかりの「テスト版」にはいささか未調整な部分が目立つ場合があるようです。

「安定版」と「テスト版」を併用するにはマシンが2台必要になるわけで、資材的に贅沢な環境と言えるかもしれませんが、Debianの場合、どちらかと言うと古い機材への適性が高いので、リサイクルパソコンの活用という観点から着目してみると良いかもしれません。マシン環境が1台に限られるという場合は、クライアントなデスクトップパソコンとして「テスト版」を回していくのがよろしいかと思います。

lennyの安定版で落ち着いていた頃、「Google Chrome」が使えるようになり、Iceweaselへの執着感も薄らいでいきました。それより、「テキストエディタ」・「ファイルマネージャ」・「メールソフト」といった基本アプリの見定めが煮詰まっていませんでした。

  GNOME KDE cross-platform
ブラウザ epiphany-browser Konqueror Google Chrome,Iceweasel
メール evolution kmail sylpheed,icedove
ファイルマネージャ nautilus Konqueror,dolphin -
テキストエディタ gedit kate,kwrite bluefish

DebianのデフォルトはGNOMEなんですが、私のお気に入りはKDEなんです。というのも、Konquerorに魅せられたと言っても過言ではありません。私はKonquerorを使いたいがためにKDEを選択しました。しかし、KDEなQtアプリは、どうも日本語(入力環境)があまり得意ではないようなんです。「scim+anthy」との相性があるのでしょうか。「uim+anthy」でもインライン入力ができないケースもありました。そして、事故はKmailでおきました。ある日、突然、メールが受信できなくなってしまったのです。正確には、popなメールボックスの着信メールには反応するんですが、それをKmail環境で受信(保管)する段階で「日本語情報」が飛んでしまっている?という不可思議な現象でした。結局、原因不明のままKmailとは距離を置くことにしました。また、kateでもツールボタンをカスタマイズすると、そのツールボタンが挙動不審に移動するという現象があったり、さらに、KDE4への移行段階で激変化?があったりと、KDEの見直しに頭を抱えた時期でもありました。KDE3.5、って好きだったんですけどねぇ〜。

■「squeeze」以降は、マシン環境をPentium4に移行していきました。さすがに、Pentium3マシンではブラウジングにおいてもグラフィック関係で限界にきている感触がありました。

そして、KDE4も試してはみたのですが、Kmailでの失敗もあり、安定性を求めてGNOMEに立ち返ってみようと思い、nautilusやgeditに慣れるよう努力してみました。なんとかGNOMEなGTKアプリのコツも掴んで、メールソフトは「sylpheed」を使ってみることにしました。すると、このsylpheedが意外と扱いやすいんです。気に入りました。そんな折り、KDEでもないGNOMEでもない LXDE の存在を知りました。「LXDE」は、メモリの消費量が極端に少ないのです。これもひとつの流派なんですね。私はイイトコ取りの組み合わせを模索していくことにしました。

  GNOME KDE LXDE cross-platform
ディスプレイマネージャ gdm3 kdm xdm  
ブラウザ       Google Chrome
メール       sylpheed
ファイルマネージャ   Konqueror,dolphin pcmanfm  
テキストエディタ     leafpad bluefish

■現在、「Wheezy(現在のテスト版)」を満喫中ですが、同時にファイルサーバとして「Squeeze」の「安定版」も稼動させています。そこで、「Squeeze」と「Wheezy」の「LXDEな違い」が見えてきます。それはLXDEの進化を見ることになります。

  LXDE
Squeeze(6.0.3) Wheezy(7)
lxde lxde (0.5.0-4) lxde (0.5.5-1)
◎デスクトップのアイコンがドラッグ&ドロップで整理が可能に
lxappearance lxappearance (0.4.0-1)
外観の設定
lxappearance (0.5.1-1)
ルックアンドフィールを設定します

◎「色」「マウス」「Font」の設定項目が追加されている
pcmanfm pcmanfm (0.9.7-1) pcmanfm (0.9.8-1)
◎左ペインのブックマークがドラッグ&ドロップで整理が可能に
leafpad leafpad (0.8.17-5) leafpad (0.8.18.1-1)
LXTerminal lxterminal (0.1.8-2) lxterminal (0.1.11-1)
lxpanel lxpanel (0.5.6-1) lxpanel (0.5.8-1)
※パネルの位置を「上」にするとメニューが空白になる?バグ?
lxtask lxtask (0.1.3-2) lxtask (0.1.4-1)
lxsession lxsession (0.4.4-3) lxsession (0.4.6.1-1)
lxlauncher lxlauncher (0.2.1-3) lxlauncher (0.2.2-1)
ibus-mozc --
→ 「Mozc(モズク)」のSqueezeへのインストール
ibus-mozc (1.2.855.102-1) [non-free]

LXDEって、実は未だ、開発版なんですね。なので、いささか歯痒く思われる部分もありますが、確実に使いやすくなっていっていることが見て取れます。また、Wheezyではmozcがリポジトリされていますので、このポイントは高いですね。Debian的作法としては、「安定版」と「テスト版」のローリング併用ってのがお勧めなのかも。

私は「安定版」をファイルサーバとして使い、「テスト版」をメイン作業マシンとして使っています。つまり、「テスト版」で作業した成果物はすべて「安定版」のディスクに保管する、という構成ですね。これにはNFSが非常に重宝します。